アイドル転落記

絶望の学生時代からアイドルを経て不倫に走り、愛する子どもを殺し、ブラック企業を経験したのちに平凡且つ普通のOL生活を手にいれる一般女性の話。ノンフィクション。実話です。

高校生活②墜落

そんなこんなで勉強面で苦労しつつ

高校生活① - アイドル転落記

(詳しくはこちら↑)

 

 

 

高校生活には慣れていったが、

私が配属された1年5組は、2年生以降のクラス替え後であれば教師に手が加えらそうなほど学年のギャルを集めたクラスであった。あまりにもギャルがいすぎて、入学式当日教室入った瞬間に”入る学校間違えた”と、思ったほどだ。

制服がなかったので、なんちゃって制服を着ている子が多かったのだが、

膝上20cmは当たり前だった。

 

 

今思えばただ髪の毛を染めていただけで、

ギャルでもなんでもない。

お洒落がすきな”可愛い子”がいただけだったのだが、

黒髪、ノーメイク、膝丈普通の地味女の私には衝撃的だった。

 

学年の”可愛い子”が1年5組に集まりすぎていて、他のクラスには1人いるかいないか程度だった。

そんなクラスに所属していた為、私も1年生の5月には髪の毛を茶色に染め、メイクもはじめた。

それまではメイクに興味はあったが、どうしたらいいのかわからなかったが、見よう見まねで雑誌を買って研究しはじめた。偏差値と治安は比例するらしく、いじめや嫌がらせといった無駄なことをする子はいなかった。優しい子が多かったので、地味女の私にもメイクや、ヘアアレンジを教えてくれた。

そのおかげで私も徐々に、”可愛い子”の仲間入りをしていった。

 

 

楽しい高校生活を送っていた。

6月下旬までは。

ここからが墜落の始まりだった。

 

 

 

 

高校入学後初めての期末テスト。

 

 

授業にもついていけていない、理解も出来ていない。

それに比べて、皆はすらすら勉強が出来ていて、部活やバイトで高校生活を謳歌し、楽しそう。

この時点で劣等感を感じていた。

私の悪い癖で、すぐに人と比べて一喜一憂する。

この癖は今でも変わっていないが………

 

劣等感は5月の中間テストの時にも薄々感じてはいたが、

まだ高校生活は始まったばかりだし、そのうち慣れると思っていた。

 

 

 

授業が始まってすぐの時期から、

理解できないから勉強しなかった。

勉強しないから理解出来なかった。

 

どんどんこの差は開いていき、

ついに歴然とした形となって現れた。 

 

入学前と同様に、試験前にも膨大な提出物が課題として出された。

これは進学校の宿命であろう。

この提出物をクリアすれば、きっと大学もMARCH以上には行けたのだろう。

この記事をお読みの学生がいるならば、断言する。

分からないことはそのままにせず、すぐに解決すること。

そうしなければどんどん遅れをとり、後戻り出来なくなる。

聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥!!

 

 

そんな恥の塊の私は、

膨大な量の提出物を、答えを写しつつ消化し、

試験を迎えた。

もちろん試験範囲の内容なんて理解出来ないまま。

 

中学までと大きく違う点は、自分のクラス順位がはっきりと知らされるところだ。

結果は全教科40人中35位~39位の間だった。

中学時代、必ずといって良いほど80点以上だったのに、

高校では50点すら取れなかった。

 

 

「何位だった?」

楽しそうに順位を見せ合う天才たちを横目に、私は順位をひたすら隠し、話題を変えるのに精一杯だった。

頭の出来の悪さをネタに出来る程、当時の私は大人ではなかった。

 

見た目も可愛くて、勉強もできる天才たちに囲まれて、

それ以降の私はただただ惨めだった。

 

 

そのまま夏休みになったが

友達と会っても自分が惨めに思えるだけだったのでなるべく会いたくなかった。

引け目を感じたまま時々は友達と遊んだが、

それ以外は家に引きこもった。

膨大な量の宿題を抱えながらSNSで可愛い天才達のリア充生活を

嫉妬しながら眺める毎日を送った。

 

 

今でもSNSは嫌いだ。

自己顕示欲を最大限に出し切って、近況報告をする

良いとこ取りのマウントの権化にしか見えない。

 

 

そのまま夏休みが終わり、また中間試験を迎えたが

 2学期に入り、なおさら勉強が分からなくなっていた。

 

両親は私の成績を見ても、他の子がよく出来るだけだと、

私を責めるようなことはしなかったし、

好きなことをしていいよと言ってくれていた。

 

 

”好きなことをしていいよ”

 

”好きなことしていいよ”

 

本来であれば思いやりでしかないこの言葉がきっかけで
走馬燈のように過去の出来事が蘇った。

 

 

”好きなことしていいよ”

 

アイドルオーディション、

即否定したのに………

 

”好きなことしていいよ”

 

 

じゃあどうして、即否定したの??

あんたなんか無理って端から否定しておいて何言ってるの?

 

アイドルを即否定されたから

10歳頃

”アナウンサーになりたい”と言ったとき

もっと真面目な職につきなさい

 

そういったのは誰??

 

やりたいことはあった。

なのにすべて否定されてきた。

 

 

 

 ”好きなことしていいよ”

 

 

私はこのときから狂ってしまった。

 

 

”好きなことしていいよ”

突然ではなかったと思う。

徐々に徐々に、

可愛い天才達が好きなことをしているSNSを嫉妬しながら、

少しづつ少しづつ。

良い子の道をたどっていた私のレールは狂った。

 

2学期の中間テスト前だった。

音大に通っていた姉のように、

好きなことはないの?

やりたいことはないの?

 

そう聞かれた。

 

好きなことを否定され続け、

ただでさえわからない勉強に必死だった私は、

教科書を投げ飛ばし、ぐしゃぐしゃに破って、

「勉強なんてしたくねえよ  高校なんてやめてやる

こんな学校入らなきゃよかった」

大声で叫んだ。

いっぱいいっぱいだった。

 

 

 

 

その言葉を絶叫してからは、

本当に高校を辞めたいのか、

嫌なら転校してもいいんだよ

 

そういった話を母としたと思う。

狂っていたので、記憶がない。

 

 

冷静になった私は、

ただ可愛い天才達に嫉妬していただけだと気づいた。

 

”好きなことしていいよ”

やりたいことに対して正面からぶつかり、自分から動いていないのに

やらせてもらえないと被害者ぶっているだけだと気づいた。

 

自分からはっきり言わないのに気づいてほしいなんて

なんと厚かましいのだろうか。

 

 

 

 

 

 

その後、よく考えた私は母にこういうのだった。

 

 

 

 

”ミュージカルがやりたい”

 

 

 

 

 

このときにアイドルになりたいと言えなかったのは、

可愛い天才達の顔面偏差値を知っていたから。

顔に自信はなかった。

それでも、歌いたい踊りたい。

この願望は消えなかった。

 

そして見つけた。

 

 

ミュージカルがやりたいと。

 

 

高校生活は続く